症状の回復の仕方
2018年 6月15日(金)大分合同新聞記事より抜粋
今回はめまいや耳鳴り、不眠症などの自律神経症状がどのように回復していくかをお話しします。この症状はけがや風邪が治るのとは少し異なる回復の過程をたどります。結論から言いますと、自律神経症状は一気に改善するということはなく、良くなってきたと思ったら突然悪くなってしまうという「回復と悪化」を繰り返しながら徐々に良くなっていくことが多いのが特徴です。
自律神経の乱れに関係するさまざまなストレスを「体の借金」に例えて説明します。ある患者さんでは総額300万円の借金が体にあると仮定。そして100万円単位で症状が分かれて、上から症状別に「頭痛」「不眠症」「耳鳴り」の3層に分かれているとします。一番上の頭痛の層から体の借金を減らして100万円返済したとします。
ここで頭痛の層は消えて完治したように感じるのですが、そう思ったのもつかの間で、次にある2層目の「不眠症」の症状が出てきて、また振り出しに戻ったように感じてしまいます。せっかく順調に回復していたのに別の症状が悪化しショックを受けますが、大きな視点で見ると実は回復の方向に向かっています。
回復と悪化の繰り返しながら回復へ
このように回復と悪化を繰り返しながら体の借金を徐々に返済し、全額返済した際には症状が全て消えてなくなるのがよくあるパターンです。これはあくまでも一つの例です。患者さん一人一人の体の借金額で回復のスピードが違ってきます。数日で回復する人もいれば、数カ月もかかる人もいます。
回復している途中で突然悪化したことにショックを受けた患者さんには、治療を諦めてしまう人もいます。諦めず粘り強く1円ずつでも返済していき、最終的には全額返済に向けて歩んでいきたいものです。(釜宝秀・かま鍼灸整骨院院長)