人間関係のストレス解消法
第15回 大分合同新聞 2018年6月1日(金)記事内容より抜粋
当院で最も相談の多い人間関係で生じる精神的ストレス。その相談内容で多いのが、嫁姑関係が上手くいかず腹が立っている、職場で嫌いな人がいて毎日がストレス、子供が自分の言う事を聞かずイライラする、等と人間関係で生じるストレスは人それぞれ様々です。
本日は人間関係の精神的ストレス緩和のお話をしていきます。基本的に人間関係の中で「優劣」をつける感情の物差しが強いとストレスは発生しやすいと言われます。学校で1番の成績を目指していたのに2番だった、会社で自分の方が年齢も上で経歴もあるのに先に出世された等、一度はこの様な経験はあるのではないでしょうか?
心理学者のアドラーは「人間関係において縦の関係は否定」という事を提唱されていますが、これがまさしくそれにあたります。どういうことかと言いますと人間関係において優劣、別の表現で例えると1番2番…と言った様な1番上の人が一番偉いという縦社会の価値観があると精神的なストレスが発生しやすいですよと言う事です。
心の状態に縦社会の価値観があると常に自分は他人と比べている事になります。例えば他のご家庭と比べて我が家の方が給料が高い・低い。我が子は他のお子さんと比べて成績が良い・悪い。同世代の方に比べて自分の体の健康状態の方が良い・悪い。
と言った様な具合でその価値観で普段の生活を送っていると必ずどこかで自分以外の他人と比べて優劣をつけ最終的には劣等感を感じ、イライラ、悔しさ、怒り、嫉妬心、自責の念等が生じる事になります。それが精神的ストレスを生み自律神経のバランスを崩してしまいます。そう言った縦の社会の物差しが心の中にあるとストレスが発生しやすいと言う事を頭の隅においておくだけでストレス緩和は始まります。
更に厄介なのは?
もちろん1位になる事が悪い事ではありません。その点はご理解頂けるかと思います。要するに心の状態に縦社会の価値観があると例え自分が一番になっていても必死にそれを守ろうとして余計なストレスが発生してしまう事が多くなるのです。ではどうすればその価値観が変わり人間関係のストレスが緩和されるのか?アドラー心理学で「縦の関係を横の関係にする」という言葉があります。
社会では・上司と部下・親と子・先生と生徒と言う様に立場の枠組みが決められています。もちろんそれは必要不可欠なものなのですが、その関係性の中で「心の中では」横一列の人間関係を構築する価値観を持つ事が大切だと言われています。自分以外の他の人に対して縦の価値観で優劣をつけ比べるのではなく、横一列の価値観で他の人を敬い尊重しあっていく関係になります。
大分県出身の偉人、福沢諭吉の言葉を借りると「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という事です。その様な価値観になると精神的ストレスが緩和され自律神経が整ってきます。